株を担保にお金を借りる?他社株式担保融資っていったい何?

会社を経営していると、必ずといって良いほど大きなお金が必要になるケースが急に出てきます。しかし、そのときに限って現金を準備できないということは多々あるのではないでしょうか。そのピンチを打開すべく、資金集めに奔走するのが経営者の務め。ですが、簡単に現金は集まるわけではありません。そこで注目したいのが他社株式担保融資です。
特に、株を保有している経営者であればぜひとも知っておきたい手段です。ここでは、他社株式担保融資について詳しく解説します。

他社株式担保融資とは?

他社株式担保融資とは、保有している株式を担保にしてお金を借りるという資金調達方法です。低金利で借りられますし、株式の時価総額のおよそ50%~80%を借りることができるため、資金調達の方法として最適です。ただし、東証1部上場企業のような換金性の高い株式の場合、高い評価額を得ることができますが、一般の中小企業や未上場企業の株式だと評価額が下がる可能性があるため、すべての株式が高い評価額になるわけではありません。
上場企業の株式でもヘラクレスやセントレックス、アンビシャスといった流通の少ない取引所の場合も、担保価値は低くなります。また、他社株式担保融資は別名「有価証券担保融資」とも言われ、株式以外にも国が発行する国債や大手企業が資金調達を目的に発行する社債、商取引の場で使用される手形も担保として利用できます。(※1)

他社株式担保融資を利用するメリットとは?

他社株式担保融資のメリットとして挙げられるのが、低金利での資金調達が可能になる点です。金利は平均で3%~5%となっており、場所によっては2.9%という金利のところもあるため、好条件で融資を受けられます。初回キャンペーンで低金利で融資してくれる金融機関もあるので、そのタイミングを狙って融資を受けるのもお得にお金を準備するのに有効です。
また、他社株式担保融資は株式を売却しないまま現金を手に入れることのできる方法です。他社株式担保融資がなかった時期は、現金を用意するために株式を売却するしか方法はありませんでした。しかし、他社株式担保融資を利用すれば株式を保有した状態のまま現金を得ることができ、担保にしていても株を自由に売却することができるため、自由度の高い便利な資金調達方法なのです。
さらに、株式を担保にしているだけですから配当金や株主優待といった株式保持のメリットを失うことはありません。したがって、他社株式担保融資後も利益を得ることは可能です。ただし、株式を売却した時はこれらの権利はなくなります。(※2)

他社株式担保融資が役に立つ場面とは

他社株式担保融資という資金調達方法を利用するベストなタイミングとして挙げられるのが、急にお金が必要になったときです。株式は資産分散の手段として有効だけでなく、配当金もしく株式優待など利益を得ることも可能です。ですが、会社の経営をしていればお金が必要になることもありますし、私生活でも大きなお金を準備しなくてはいけない場面もあるはずです。
そんな時に他社株式担保融資を利用すれば、株のメリットを残した状態のまま低金利でお金を借りることができます。また、生活費が足りないというときにも他社株式担保融資は有効です。基本的に、他社株式担保融資で借りたお金は使途を決める必要がないため、生活費にも充てられる自由度の高い資金調達方法です。
本当に苦しいときには、他社株式担保融資という方法を使えるようにしておくと良いかもしれません。株式を保有しているのであれば、また新たに株式を購入したいと考えることもあるでしょう。気に入った銘柄の株式がある場合やさらに買い足しをしたいといった状況になる可能性は十分あります。
しかし、現金がなければそれらをすることはできません。他社株式担保融資は、会社によって違うものの、最大で数千万~億という金額を借りることも可能です。もちろん、保有している株式の評価額がそれだけあることが条件になりますが、それだけのお金を準備できるのであれば株式でさらに利益を確保することができるでしょう。(※3)

他社株式担保融資を利用するデメリットとは?

他社株式担保融資にはデメリットもあります。まず、他社株式担保融資でお金を借りる場合、目安として株式評価額の約60%の金額しか借りることができないという点です。そのため、会社は利益を確保するために株式の評価額が最低でも18万円、利用する会社によっては最低でも51万円というように条件を設定しているところもあります。したがって、他社株式担保融資を利用する場合この条件を満たす必要が出てきますので、全ての株式保有者が利用できる手段ではありません。

さらに、注意したいのが株式の価値の変動です。株式の価値は常に一定ではないため、価値は上がったり下がったりを常に繰り返している状態です。もし、保有している株式の価値が上がり、値段が高くなれば他社株式担保融資でさらにお金を借りることができます。しかし、株式の価値が下がり、値段が落ち込んでしまえばその分を補てんする必要があります。例えば、他社株式担保融資を受けたと同時の時価総額の60%で借りていたものの、担保割れを起こし、現在借りている金額が時価の90%になってしまった場合、差額の30%を支払わなくてはならなくなるということです。

評価額が大きければ大きいほど負担は大きくなるので注意が必要です。この担保割れのリスクを回避するためには、評価額ギリギリで借りるのではなく余裕を持って借りることが大切になります。もし、時価額の最大60%の金額を借りられる会社に100万円を借りようと相談した場合、評価額が167万円あれば借りることは可能ですが、担保割れのリスクは非常に高いです。評価額200万円の株式を用意するといったように余裕を持たすことで、担保割れのリスクを軽減することできます。
また、他社株式担保融資の契約期間は非常に短いです。会社によって前後するものの、一般的に6ヵ月~1年という契約期間に設定されています。したがって、この契約期間内に借りたお金を返済しなくてはなりませんから、返済しきれないような無理な金額を借りないようにするなど、計画的な利用が必要になります。

ただし、審査を通過することが条件になるものの契約延長はできるため、返済期間を延ばすことも可能です。注意点として、返済の滞納が続いている場合は審査を通ることが難しくなるため、契約延期は困難です。(※4)

他社株式担保融資を利用できる人とは?

他社株式担保融資を利用するためには、条件を満たす必要があります。まず、担保になる株式を保有しているのが絶対条件です。現在、株式を保有していない人は利用することはできません。しかし、将来的に保有する予定だが手元にないという人は、他社株式担保融資を取り扱っている証券会社を選ぶことで今後は利用することができるようになります。

注意したいのが、株式保有しているのにもかかわらず、他社株式担保融資を利用できないケースがあるということです。その1つが、他社株式担保融資を扱っている証券会社を選択していないときです。実は、他社株式担保融資はすべての証券会社が扱っている資金調達方法ではありません。したがって、現在利用している証券会社が他社株式担保融資に対応していなければ利用することは不可能です。後のこと考えて利用したいと考えるのであれば、事前に対応しているのか調べておく必要があります。

ただ、保有している株式をすべて売却した後、他社株式担保融資に対応している証券会社に変更すれば、誰でも利用することは可能です。また、証券会社を変えるためには株式を移動させるという方法も有効です。ただし、株式だけでなく、現金やその他の債権を移動させるとなるとスムーズにできない可能性があり、場合によっては株式の移動ができないということもありえます。

株式を保有していても、証券会社が設定する最低貸付金額に足りていない場合もNGです。例えば、10万円の最低貸付金額の証券会社であれば、株式の時価額は18万円以上必要になります。証券会社の中には、最低貸付金額を30万円に設定しているところもあり、この場合51万円以上の株式時価額を持っていなければ利用することはできません。したがって、最低貸付金額以上の株式を保有していなければ他社株式担保融資は受けられませんので、証券会社の条件をしっかりと確認しておきましょう。(※5)

他社株式担保融資の申し込みの流れ

他社株式担保融資の申し込みは、まず、電話やインターネットなどで問い合わせすることからスタートします。面談を希望する場合、このときに日時を設定します。次に、面談と申し込みです。証券会社の担当者が面談を行い、借入希望額と資金使途、担保にする株式について相談をすることになります。

また、申込に必要な書類をここで提出します。必要書類には、運転免許所やパスポートなどの本人を特定できるもの、印鑑証明と実印、株式証券、決算書等事業の資料、法人の場合は商業登記簿謄本などです。ただし、証券会社によって準備する書類は違いますので、何を準備するべきか事前に聞いておく必要があります。(※6)申込み完了後は、審査に入ります。面談の時にヒアリングした内容と提出書類の内容を参考に証券会社で審査が始まります。期間は、面談日から2日~4日ほどかかり、その後審査結果を伝えられます。

審査を通過したら、契約書の作成です。もし、口座開設をしていない場合は担保取引用の口座開設が必要になります。そして、最後に融資の実行です。株式の振替(質権設定)後が確定したら、口座に現金が振り込まれます。これまでの流れにかかる期間は約1週間です。ただし、契約内容や証券会社によってはかかる期間が延びる可能性があります。(※7)この手順についても証券会社によって違うため、担当者に指示に沿って手続を行うようにしましょう。
また、面談を行わずにインターネット上だけで他社株式担保融資を受けることも可能です。店舗に出向きく必要がないので手間はかかりませんが、疑問点についてすぐに聞くことができませんので、ある程度の知識が必要です。

他社株式担保融資にかかるコスト

他社株式担保融資を申し込むのにかかる費用は、利息と事務手数料、収入印紙代などです。ただし、証券会社によって必要になる費用の項目が違ってくるため、しっかりと調べておく必要があります。例えば、貸付金が50万円として利息が年間2%とします。そして、1年間で支払いを終えた場合、利息の合計は1万円になります。ですので、かかる費用は1万円+事務手数料、収入印紙代です。注意したいのが、金利は会社によって違いますし、貸付金額によっては利息も大きくなります。他社株式担保融資を利用する場合は、金額のシミュレーションを念入りに行うことをおすすめします。

株式はどうやって評価しているの?

他社株式担保融資をするかどうかを決める証券会社などの金融機関が決定します。したがって、株式を新たに購入する人はどんな条件を満たす必要があるのか知っておきたいところです。まず、大前提となるのが株式の流動性、つまり換金のしやすさです。換金ができなければ、価値は全くありません。そのため、同じ株式でもこの流動性をクリアしていなければ、他社株式担保融資を受けることは難しいです。株式の購入時の銘柄選びには十分注意する必要があります。

また、株式の相場変動が激しいものも評価が下がる原因となります。上場企業の株式は、業績が同じであれば価値が上下することは少ないです。ですが、会社の不祥事やその他のスキャンダルが表に出ると、業績が悪化して株式の価値に悪い影響を及ぼします。その結果、株式の担保評価額に響いてくるため、波の激しい株式には手を出したくないのが金融機関の考えです。現在では、インターネットの発達で情報の拡散スピードが昔と比べて飛躍的に向上しました。

そのため、株式の価値もそれに比例するように激しく変動します。できる限り、この変動の幅が小さい株式の銘柄を保有することが必要です。また、株式の発行主体が持っている信用力も重要なポイントです。株式を発行している会社の規模が大きく、なおかつ業績も良ければ評価は高くなります。しかし、業績も悪い会社となると評価は下がる一方です。株式の発行主体がどのような会社なのか念入りに調べておくことが大切です。(※8)

他社株式担保融資は困った時の手段

他社株式担保融資のメリットは、株主優待や配当金といった利益を保ちながらお金を借りられるというところにあります。そのため、お金を借りているにもかかわらず、いつもと同じように生活ができるのですから、便利な資金調達方法です。

そのうえ、返済にかかる利息についても非常に安く、選んだ金融機関次第ではコストも抑えることができるでしょう。担保割れのリスクがあるものの、上手く貸付金を設定すれば問題なく対応できるかもしれません。ただし、他社株式担保融資は本当に困った時に利用する手段だといえるでしょう。金利がいくら安いとはいえ、損失になることは間違いありません。そのうえ、手続きにはある程度時間がかかりますし、株式の移動の手続きも必要になる可能性もあります。忙しい経営者にとって貴重な時間を費やすことにつながりますから注意が必要です。

他社株式担保融資は奥の手です。リスクの少ない資金調達方法や現在所持している現金で何とかできる経営者は、そちらを利用する方が良いかもしれません。また、株式を保有していないが他社株式担保融資を利用するために株式を購入しようと考えている人も、本当にその手段がベストなのか考えてみるのも良いでしょう。他社株式担保融資は便利な資金調達方法ですが、無理な資金計画は身を亡ぼす可能性を高めてしまうので、慎重に行いましょう。

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