資金調達の切り札!融資を断られても利用できるリースバックとは?

事業主が事業を継続するために資金調達は避けて通れないものでしょう。事業を拡大するため、もしくは創業直後や売掛債権の回収が遅れて資金繰りが苦しい時など、資金が必要になる場面はいくつかあります。ですが、状況によっては融資を受けたくても受けられない場合があるかもしれません。そうした時に利用できる資金調達方法のひとつにリースバックという方法があります。ここではそんなリースバックの概要やメリット、注意点を確認していきましょう。

リースバックとはどんな方法?

資金調達と聞くと、金融機関からの融資を連想する人は多いのではないでしょうか。融資は資金調達のメジャーな方法です。しかし、融資は審査の結果断られることがあります。事業主の中には過去に金融機関から融資を断られたことがある人がいるかもしれません。そうした時に使えるのがリースバックという方法です。

リースバックとは不動産や機械などの保有している資産を金融機関やリース会社に売却し、売却と同時にリース契約を結ぶことでその資産を利用し続ける資金調達方法のことです。例えば、オフィスを自社ビル内に持っている場合、自社ビルを売却してしまうとオフィスが使えなくなってしまうでしょう。ですが、リースバックを利用すると、売却資金が得られるうえに引き続きオフィスを利用することが可能なのです。

このように、リースバックを使うと資産を継続して利用しつつ、資金調達することができます。リースしている間は金融機関やリース会社にリース料を払うだけで継続利用可能です。そして、将来的に資金繰りに余裕が生まれたならば、売却した資産を買い戻すこともできます。そのため、融資が利用できない事業主が一時的に資金調達したいと考える場合には適した資金調達方法といえるでしょう。

建物や車両、荷役機械などの運搬用設備がリース契約することが可能です。そのほか、OA機器、POSやショーケースなどの商業用設備、工作機械などもリースバックに利用できます。「設備を売却して資金調達をしたいが設備は使い続けたい」という要望を満たすことができるのがリースバックなのです。(※1)

リースバックにはどんなメリットがある?デメリットはどんなもの?

リースバックによる資金調達のメリットとしては5点あげることができます。1点目は、資産をそのまま継続利用できる点です。資産を売却すると資金を得られます。その際、資産は利用できなくなるのが一般的ですが、リースバックをすると売却によって資金を得て、さらにリース契約によってその資産を引き続き利用することが可能です。

2点目として、一時的に資金を得ることができるため、資金繰りの改善ができます。融資を受けられない人にとって資金繰りは死活問題です。しかし、リースバックを利用することで、資産を手放すことなく資金調達をすることができます。

3点目は、財務指標の改善が期待できる点です。リースバックをしても経常利益に変化はありません。ですが、手元の資産を資金化することができるため、資産の中で経常利益が占める割合を表すROA(総資産利益率)の値が向上します。財務諸表が改善すると金融機関からの評価が上がり、融資を受けやすくなるでしょう。

4点目としては、経営上のコスト見通しが立てやすくなる点です。資産を所有していると減価償却費や固定資産税、保険料といったさまざまなコストが発生します。そうしたコストは変動する可能性があるため、税務申告といった事務的な負担が生じるでしょう。ですが、リースバックをすると必要なコストは毎月一定額のリース代金のみです。そうなると毎月の経費が計算しやすくなるため、支出管理が容易になります。

5点目としては、所有しているとかかるランニングコストを抑えることができる点です。例えば、営業車を複数所有している会社の場合、車検管理のための事務コストは避けて通れません。ですが、リースバックを利用すると所有者は金融機関やリース会社になるため、そうした費用を負担せずに済みます。

一方、リースバックのデメリットにはどういったものがあるのでしょうか。まず、リース代には資産の代金に加えてリース会社の利益が上乗せされています。したがって、所有している時と比べるとコストは割高です。もし継続的にリース代を支払うことになると、売却代金を上回る可能性も出てくるでしょう。また、同じ金額を調達したとして、融資とリース契約ではリース契約の方が返済総額が大きくなってしまいます。

さらに、リース代といっても経費と認められない場合があります。それは一時的な資金が目的のリース契約だとみなされる場合です。リース代は基本的に経費と認められる項目ですが、一時的な資金調達と判断される場合にはリース契約ではなく金銭の貸付と評価されます。そうなると、税法上のメリットがなくなってしまうのです。

企業の中には税法上のメリットを狙ってリースバックを行うケースがあるようですが、必ず適用できるわけではないので注意を要します。リースバックを主たる資金調達方法とするのではなく、緊急的な資金調達方法として利用するのがいいでしょう。(※1)(※2)(※3)

リースバックを申し込むための手続きとは?

リースバックを利用する際には、まず企業が所有する機械や設備といった資産の売却が必要です。この売却先は金融機関の場合もあればリース会社が対象となる場合もあります。そして、資産価値を評価して売却手続きが完了したら企業が代金を受領し、売却手続きは完了です。次に、資産を新たに所有することになった金融機関やリース会社はその資産をリースに出します。

もともと資産を所有していた企業はその資産を利用するために金融機関およびリース会社と対象となる資産に関してリース契約を締結するのです。そして、リース料を払うことで従来通り資産を使うことができます。かつ、資産を売却したので手元に売却資金を得ることが可能です。このように、資産の売買契約とリース契約を同時に行い、リースバックの手続きは完了します。(※1)

リースバックに審査はあるの?

リースバックは基本的にリース契約となるので、融資のような審査はありません。ただし、売却する資産に関する評価はなされます。この資産が換金性に乏しかったり資産価値が低いとみなされたりすると売却できず、リースバックを利用できない場合があるかもしれません。したがって、リースバックを検討する際にはあらかじめ売却する資産がどれほどの価値を有するのか、評価を確認したほうがいいでしょう。

リースバックを利用するために必要となる書類は?

リースバックはあくまでもリース契約です。したがって、融資の時に必要となるような書類はほとんどありません。本人確認書類、確定申告書や所得証明書といった収入のわかる書類、そして認印などが必要になります。ただし、金融機関やリース会社、そして売却しようとする資産によっては別途書類を求められるかもしれません。リースバックを検討する際には事前に売却先へ確認するようにしましょう。(※4)

リースバック利用にあたって必要になるコストとは

リースバックを利用するためのコストとして、一番注意すべきはリース料金です。リース契約を結んでいるので、売却した資産を利用するためにはリース料金を支払い続けなければなりません。リース料金は一般的に融資を受けるよりも金利面などで不利な場合が多く、コストがかさみやすいので注意を要します。

ほかには、リースしている間のメンテナンス費用や修理・管理費用も借主が負担しなければなりません。したがって、リース契約中に資産を毀損してしまった場合、修理費用を支払う必要があります。また、リースの期間が長引けばその分だけリース料や修理・管理費用がかさんでいきます。期間によっては売却金額を上回る可能性もあるでしょう。

リースバックにあたっては一度資産を売却しているため、自らが資産を所有する場合と比べるとコストは大きくなりやすいです。したがって、コストの小さい資金調達方法を選択できるのであればそちらから検討し、リースバックは最後の手段として考えるといいでしょう。(※5)

リースバックを利用するのに留意しておくべき点は?

リースバックを利用する際に注意すべきポイントは3点あります。1つ目はコストです。資産の売却によって資金調達に成功したとしても、資産を買い戻したり手放したりするまではリース料を払い続けなければなりません。金額が一定なので経費管理がしやすい面もありますが、長い目で見ると支出が継続するようになってしまいます。リース期間が長期間にわたった場合、資産の売却金額よりも払ってきたリース金額の方が高くつくかもしれません。また、リース料の中には金融機関やリース会社の利益が上乗せされており、その割合は金融機関による融資と比べて高くなっていることがほとんどです。したがって、金融機関での融資が利用できないが緊急的に資金調

達をする必要があるという場合など、限られた状況でのみ利用を検討した方がいいでしょう。金融機関からの融資が利用できる環境にあるならば、リースバックを積極的に利用しなくてもいいかもしれません。

2つ目として、資産に関するリスクがあります。資金繰りのためにリースバックを利用して資金調達に成功した場合、ある程度余裕が生まれたら買い戻したいと考える人は多いことでしょう。ですが、資金繰りに苦労してずっと余裕が生まれない、あるいはリース料を払い続けるのが難しくなってしまうと、買い戻す予定だった資産を手放さなければならなくなるかもしれません。

もしリースバックにあてた資産がオフィスビルなどの場合には、オフィスの継続利用ができなくなる可能性があります。したがって、リースバックによって資金調達をする場合、買い戻しができないリスクについて考えておかなければなりません。また、売却する資産の流動性が低い場合、売却したくても買い手がつかずリースバックができない、ということも考えられます。リースバックに回そうと検討している資産が市場価値のあるものか確認しておきましょう。

3つ目は税務上のメリットを逸する可能性がある点です。リース料は経費とみなすことができるため、経理上企業の利益を縮小するためにリースバックを利用しようとする会社は多いでしょう。しかし、リース契約が事業に不可欠なものではなく一時的な資金調達を目的としたものだと判断されると、経費にできなくなります。そうなるとリース料は経営を圧迫するものになってしまうので注意が必要です。リースバックはあくまでも資金調達方法のひとつとして考え、経理のテクニックとして使うのは避けましょう。

リースバックは注意点を押さえれば便利な資金調達方法!

リースバックを利用すると、リース料の負担こそあるものの資産は従来通り使い続けることができ、かつ資金を手元に用意することができます。財務諸表も改善され、経費管理がしやすくなるなどメリットの大きい資金調達方法です。資金調達する際の手続きや必要書類についても融資と比べると負担はかなり抑えられます。審査もありませんので、金融機関の審査に落ちてしまったという人であっても売却できそうな資産があればリースバックは利用可能です。

そのため、資金繰りに苦しむ事業主にとってリースバックはかなり使いやすい資金調達方法だといえるでしょう。ですが、リースバックの利用を考える際には、きちんと注意点にも目を向けないといけません。まず、銀行で融資を受ける際に支払う金利とリース料に上乗せされている金額を比べると、リース料に上乗せされている金額の方が高く設定されていることがほとんどです。

そのため、一時的には資金を得られるものの、リース期間が長引いたりすると長期的には多くの金額を失う可能性があります。さらに、リースバックをしたくてもできなかったり、いずれ資産を買い戻す前提でリースバックを行ったものの、買い戻しができず結局手放してしまうということになってしまう可能性もあるでしょう。

不動産であったり、事業遂行に不可欠な機械など、資産が大切なものであればあるほどそのダメージは大きくなってしまいます。ですので、リースバックの利用を検討するのであれば、最悪の場合売却した資産が買い戻せないリスクも考えた上で売却資産を選ぶのが重要です。また、リースバックは融資よりも高くつくため、金融機関からの融資を受けられなくなって初めてリースバックを検討することが多いかもしれません。ですが、もし可能であれば、利用できそうな金融機関を探すところからはじめるのがいいでしょう。

金融機関が独自に行うプロパー融資が難しくても、信用保証協会の保証付融資であれば検討できる場合もあります。信用保証協会であれば資金繰りが困難になった際の融資制度も存在するため、緊急事態でも利用できるかもしれません。保証付融資を利用する場合、信用保証料は必要になりますが、その金額を加算してもリース料よりは返済額を抑えられます。かつ、リースバックのように将来的に資産を手放すリスクも抑えることが可能です。そのため、まずは最寄りの信用保証協会や銀行で利用できる融資がないか相談してみましょう。

信用保証協会の保証付融資であれば金融機関は回収リスクを抑えられるので、プロパー融資よりも審査に通りやすくなります。審査に不安を抱える事業主にとっても利用しやすい資金調達方法だといえるでしょう。それでも融資を受けるのが難しそうな場合や、時間的な余裕がなくすぐに手元資金を要する場合の最終手段としてリースバックの利用を考えるといいでしょう。

そして、そういった緊急時であっても長期的に使うのはやめ、あくまでも一時的な資金繰りのために活用することです。リースバックは、売却した資産の買い戻しがきちんとできるように、あらかじめ計画を立ててから利用するようにしましょう。

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