資金調達の方法である自社株式担保融資の特徴とは?

資金調達の方法として知っておきたいのが自社株式担保融資です。自社の株式を使って資金を調達することができるため、株式会社の経営者にはありがたい資金調達方法だといえるでしょう。しかし、自社株式担保融資を利用する際は注意しなくてはいけないこともあります。ですから、自社株式担保融資がどのようなものか知っておくと安心です。そこで今回は、自社株式担保融資のメリットやデメリット、注意点などについて詳しく解説します。

自社株式担保融資とは?

株式担保融資とは有価証券担保融資の一種であり、株式を担保にして現金を借入する手法です。株式には、他社が発行する他社株式と自社が発行する自社株式の2種類があります。したがって、自社株式担保融資は自社が発行した株式を担保にして、金融機関から融資を受けるということになります。自社株式担保融資を利用できる金融機関は、銀行や証券会社です。ただし、金利や手数料、条件、手続きのスピードなどが機関によって違うため、利用する会社によって時間や費用に差が出る可能性もあります。

自社株式担保融資のメリットについて

自社株式担保融資のメリットは金利の低さにあり、約3%~5%となっています。これはあらゆる資金調達方法の中でも安い金利です。会社によっては3%を切るところもありますから、利用する金融機関次第でお得に現金を準備することができます。また、融資してもらった資金の使途は自由であるというのもメリットです。

自社株式担保融資は会社経営を続けるための資金を得ること以外にも、他社の株式を購入するためであったり、生活費のためであったりなどさまざまな使途で使用できる資金調達の方法でもあるのです。さらに、借入金の返済が完了すれば、担保にしていた自社株式は戻ってきます。借入金完済後は今まで通りに活動することができますので、無理のない返済プランを組んで融資を受けることができれば安心です。

自社株式担保融資のデメリットについて

自社株式担保融資のデメリットは、株式の価値は常に変動するということです。もし、担保に出した自社株式の価値が上がれば、株式の評価額も高くなります。そうなった場合、上がった分だけの融資を追加してもらうことも可能です。問題は、自社株式の価値が下がり、株式評価額が安くなったときです。担保に出した株式が担保割れを起こしてしまうとその穴埋めをする必要があるので、負担が大きくなります。

また、借入金返済の期間が短いというのもデメリットです。金融機関で異なるものの、一般的に半年~1年間という返済期間になっています。そのため、この期間内に借入金の返済を行う必要があります。ただし、契約期間の延長は審査を通ることで可能なので、必要に応じて相談すると良いでしょう。金額によっては長期に設定できる可能性もあります。とはいえ、金利がかかってきますから長期的になると支払い金額も増加します。自社株式担保融を利用する場合は、無理のない金額で計画を立てることが大切です。

また、自社株式担保融資は他社の株式を担保にする方法とは違うデメリットもあります。それは、株の価値が下がるというリスクです。自社株式担保融資で借入をした場合、その後は返済を続けることになりますが、返済が滞ってしまうことになれば会社は危険な状態であるということを金融機関に伝えているのと同じになります。つまり、株価の価値を下げる原因となってしまうのです。本来、会社の業績が好調であれば、借入金の返済は滞りなく完了できるはずです。

また、会社を継続させるためには信用を得ることが重要ですので、お金を返さないということは一般的にありえません。非上場企業ですと、株式を市場で売買できませんから価値がゼロになる可能性も十分考えられます。(※1)

さらに、急な出費に対応しづらいというデメリットもあります。会社経営は、急に現金を準備しなくてはいけない状況になることも多々あります。しかし、自社株式を担保にするのは自社の価値を下げるリスクがありますから、経営者とはいえ自社株式担保融資を独断で決めるのは難しいといえるでしょう。

会社を危険にさらす行為は会社の信用を失うだけでなく、経営者の資質も疑われる行為となります。会社を継続できるか難しくなる可能性もあるので、自社株式担保融資をする場合は社内の同意を得てから利用する必要があります。

自社株式担保融資を利用する際に考えたい3つのポイント

自社株式担保融資を利用する際に考えたいポイントは3つあります。1つ目は、自社株式担保融資の借入金の返済は可能かどうかです。まず、自社株の価値が高い企業は、株価が非常に高くなります。中には、100億円を超えているという企業も少なくありません。

もし、それだけの金額を自社株式担保融資で利用した場合、年利2%でも2億円の利息を年間で払う必要があります。これを返済するのが社長であった場合、すべてを給与収入で賄わなければなりません。しかし、生活費だけでなく所得税や住民税も支払うことになるので、年間の給与は3億以上を用意しなくてはいけないという計算になります。

金額が大きすぎると、ローン返済のために会社経営をしているような状態になるので計画的に行いましょう。2つ目は、会社の資金が社内で使えなくなる可能性があるということです。自社株式担保融資の相談を金融機関にした場合、提示される条件は1年の経常利益と返済がほぼ同額になることが多いようです。したがって、毎年の利益が借入金返済のために使用されるため、社外に資金が流れてしまうことになります。その間は会社のために資金を使うことはできませんから、会社の成長は止まります。

会社の成長が止まるということは、変化の激しい現代においては致命的です。自社株式担保融資を利用するのであれば、借入金返済の金額と会社の資金のバランスを取ることが大切になります。3つ目は、会社が成長した時です。経営者は自社を成長させるために働くのですから、会社が成長することは非常に良いことです。

成長が続くにつれて株価が上がれば、会社の業績もさらに上向くことでしょう。しかし、会社を成長させるために行う資金調達方法が自社株式担保融資メインになればそれは問題です。その手法を後継者が引き継ぐとなると、上記で説明したことを繰り返す可能性は高くなるはずです。そのうえ、株価が上がっているとなると支払わなくてはならない金額も増えることになります。自身が味わった苦しみ以上のものを後継者に与える可能性があるのです。(※2)

金融機関が株式の価値を評価するポイントとは?

自社株式担保融資を受けるには審査を通らなくてはなりません。担保にする株式に価値がなければ、借入金の返済が滞った時に金融機関側に被害が出るからです。したがって、金融機関は運命共同体の相手として信用して良いのかを審査していることになりますので、非常に厳しいです。株式の審査でまず見られるのは、換金がしやすいかどうかです。

例えば、東証1部上場企業でかつ毎日の取引量が豊富である株式の場合、必要な時に換金ができますから審査は通りやすくなります。しかも、評価額も高めに設定して盛られる可能性もあります。通常、銀行は株式時価額の約50%~60%の金額を担保します。ですが、東証1部上場企業などの株式であれば60%~80%になることもあるのです。逆に、中小企業の株式や非上場株式は買い手が少ないので、担保にできないもしくは評価額が減るということになります。

また、上場企業でも流通量の少ない取引所であった場合、担保の評価額は少なくなる恐れがあります。次に、株式の相場変動が少ないかもポイントです。有価証券担保融資の1つである国債は、銀行や投資家が取引をするので値動きがあるものの、国が発行しているものなので国の信用度が関係しますから、値動きは少ないです。

そのため、評価額は高くなる傾向があります。しかし、株式はそういうわけにはいきません。確かに、上場企業の株式で同じ業績を残しているのであれば、株価は安定します。しかし、情報社会となった現代では、インターネットの成長で情報の拡散するスピードは飛躍的に上がりました。そのため、企業のニュースやスキャンダル、事件などの情報が広がり、株価の変動に影響を与えることも少なくありません。したがって、自社の評価は一瞬で覆されることもあるのです。

自社株式担保融資を受けるためにも、信用を保ち続けることが大切です。また、自社の規模も自社株式担保融資をする際に審査されます。営業規模はどれだけ大きいのか、業績は毎年どれだけ残しているのかなど、企業の状態を念入りにチェックします。これを失敗すると、返済されないケースが高くなるからです。

自社株式担保融資の申込みの流れ

自社株式担保融資を受ける流れとして、まずは問い合わせをするところから始めます。電話やFAX、インターネットからできるほか、直接面談をしに行くことも可能です。しかし、突然押しかけても時間帯によっては対応してもらえない可能性もあるため、一度連絡を入れて面談の日程を決めた方が確実です。

日程が決まれば、次は面談です。この時に、担当者と面談をして話を進めていきます。借入金額はいくら必要なのか、融資された資金は何に使用するのか、自社の株式を担保にすることなどを明確に担当者に伝えます。そして、提出する必要のある書類も用意します。

用意する書類としてまず挙げられるのが、会社の存在を証明する登記事項証明書と代表者が使用する印鑑の登録証明書です。この2種は直近1カ月以内のものを用意しましょう。また、会社の業績を把握するために必要な直近3期分の決算書も用意します。そのほかにも、運転免許所などの本人を特定できるもの、貸付審査で必要な書類などです。なお、必要書類は利用する金融機関によって違うので注意しましょう。

面談と書類の提出が完了したら、貸付ができるかの審査です。面談の内容と担保の株式の評価などを行うため、審査期間は2~4日ほどかかります。ただし、申込の内容によっては日数が延長される可能性もあります。また、金融機関によっても審査にかかる期間は変動します。審査の結果、貸付が受けられることになった場合、契約書類を作成して提出します。このとき、依頼した金融機関に口座がない場合は新規で取引用の口座開設をしなくてはなりませんので、必要な書類を準備しましょう。

これまでの手続きが終われば、最後に融資の実行です。担保になる自社株式を振替した後、振込みによる融資が行われます。期間についてははっきりしていませんので、余裕を持って行動することをおすすめします。また、金融機関によってはすべてネットで手続きができるところもあるようです。あまり手間をかけたくないという方は利用してみると良いでしょう。(※3)

自社株式担保融資にかかるコストはいくらなのか

自社株式担保融資の申込みに必要なコストとなるのが返済時に必要な金利です。できる限り金利を小さくすることができれば、返済額を抑えることが可能なのでコスト削減になります。会社によって金利は違いますから、複数の金融機関を比較して選ぶようにしましょう。次に、各種手数料です。手続に必要な事務手数料や収入印紙代が該当します。これについても金融機関によって異なりますので、どれだけの手数料が必要なのか担当者に聞いてみると良いでしょう。
では、自社株式担保融資のコストはいくらになるのかを例を挙げて計算してみましょう。まず、株式の時価額の50%を担保してくれる金融機関に1,000万円の融資を申し込んだと仮定します。用意する自社株式の金額は最低でも2,000万円は必要です。

なお、金利は3%、契約期間は1年とします。この契約にかかるコストは合計で30万円+各種手数料です。貸付金額によってはコストはさらに上昇するので、できる限り負担を減らすようにプランを立てましょう。

自社株式担保融資を利用する時に金融機関の選び方について

金融機関を選ぶ際に重要になるのが、金利の安さです。支払い額が増えてしまいますから、特に大きな金額が必要な経営者はできる限り安く設定できる金融機関を探すことが大切といえるでしょう。しかし、金利だけで選ぶのも問題です。

金利が安いところの中には、追加で手数料を請求してくるところもありますし、そもそもの手数料が高い場合も少なくありません。追加で支払いが必要にならないかなど、細かいところまで聞いておくと後のトラブルを避けられます。また、契約はできれば面談をして行う方が良いでしょう。担当者が色々なプランを提示してくれるかもしれませんし、お金についての疑問も聞くことができますから、足を運んでみてはいかがでしょうか。

自社株式担保融資に頼らないようにしよう!

自社株式担保融資は資金調達方法として有効な方法の1つです。大きな金額を融資してもらえる可能性もありますし、金利も安いというメリットもあります。そのうえ、借りたお金は自由に使用することができますから、困った時にはぜひとも活用したいところです。

しかし、返済する金額は増加しますし、返済のために会社の運営資金を動かすことにもなりますから会社の経営にも支障をきたす恐れも否定できません。自社株式担保融資に頼るのではなく、他の資金調達方法がないかも常に考えていた方が良いかもしれません。

自社株式担保融資だけでなく、全ての資金調達方法にはメリットとデメリットが存在します。したがって、自身が何かしらの損失を被る可能性があることを覚えておく必要があります。一番重要なのは会社の業績を良くすることです。会社経営は浮き沈みが激しいものですから困った時は資金調達の方法を考えなくてはなりませんが、自社が損失を被るような資金調達を繰り返すのはご法度です。

会社の成長させたいのであれば、資金に困らないように運営することも忘れないようにしましょう。

 

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