【保存版】資産売却とは?資産売却によるメリットと注意点を徹底解説。

経営と資金繰りは密接な関係があります。資産の売却による資金調達方法は、自己完結するので銀行での借り入れよりもハードルは低いといえるでしょう。また、資産売却によるメリットは現金を手に入れることだけではありません。不要な資産を手放すことで資産効率を上げられるという利点もあるのです。資金繰りが厳しい企業ほど、不要な資産を保有していることも少なくありません。今回は、資産売却による資金調達方法について詳しくまとめてみました。

資産売却による資金調達とは

資産売却により資金調達とは、多くの場合、保有している資産を売却することで売却代金を得ることにより資金繰りを改善することです。ここでいう資産とは、売却し現金化できるものすべてをいいます。企業が保有している資産としては、営業権や特許権、在庫、関連会社など営業に関係するもの。そして、投資用不動産や有価証券、ゴルフ会員権といった営業外の資産、社宅や寮といった福利厚生に関する固定資産などのことです。資金調達のために売却する資産は事業に用いているものや利益を生み出しているものなどは除外して考えます。企業の資産売却の例としては、事業の一部や関連会社を売却している場合が挙げられます。そうした事例では本業の収益を圧迫している負担を軽くし、資金調達を行って資産状況を改善するために売却されていることがほとんどです。

キャッシュフローが改善する

資産売却による資金調達の最大のメリットは、売却代金を得ることができるためキャッシュフローが改善することです。経営を存続させるには、利益を生むことは欠かせません。しかし、利益が出ることと現金が潤沢にあることは必ずしもイコールではありません。実際の取引は、現金のみで行われているケースは少なく、売掛金や買掛金などが発生しているからです。売掛金や買掛金が膨らむと運転資金ばかりがかかって手元資金がショートしてしまいます。その結果、帳簿上の売り上げは黒字であっても現金がないために倒産してしまう黒字倒産も起こりえるのです。売掛金の回収前に支払が発生すると倒産してしまうため、入金と出金のタイミングを把握しておくのは非常に重要なことなのです。一方、たとえ帳簿上は赤字でも、手元に自由に使える現金があれば、会社が倒産してしまうケースは避けられるでしょう。

固定費の削減により経費の圧縮が可能

2つ目のメリットは、資産を保有するためにかかっていたコストが節約できるということです。たとえば、不動産を保有していれば毎年固定資産税が、ゴルフ会員権を保有していれば年会費の支払いが必要です。固定費は資金繰り状況にかかわらず常に一定額の支払いを伴うものなので、状況が厳しいときは固定費の削減により以降の固定費が不要になるため大幅に経費の圧縮が可能になります。損をしても、利益を生まない固定資産を売却することで長期借入金を返済することができるため、金利の負担を軽減することもできます。

自己資本比率が高まり社会的信用がアップする

3つ目のメリットは、自己資本比率の改善効果が見込めるということです。保有する資産を売却して、借入金などの返済に一部充当することができれば、自己資本比率は上昇します。自己資本比率は「自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)」で算出し、自己資本比率が高まるほど会社の経営は安定し、倒産しにくくなるといわれています。なぜなら、自己資本比率が低いほど、他人資本の影響を受けやすいため、会社の独立性に問題が発生するからです。グループ会社の資本金の構成を見てみると、相互に出資金を融通し合っているケースが見られます。それは、グループとしての独立性を保つという目的があるからです。

自己資本比率の低い会社では、資金繰りを借入金によってまかなっていることが一般的であるため、借入金がなければ取引先への支払や従業員への給料を支払うことが難しいという状況です。こうした状況下では、社会的な信用が低いので金融機関からの融資を受けることも難しくなります。固定資産や売上債権、あるいは在庫を減らす資産売却などは総資本を減少させる効果があり、自己資本比率を高めることができるのです。反対に、自己資本比率が高まれば金融機関からの信用度がアップするため、融資条件が緩和される可能性もあります。

節税によりキャッシュアウトを減らす

利益が出ている会社にとっては、含み損を抱えている資産を売却し売却損を計上することで本業の利益を圧縮することが可能です。法人税は法人の利益に対して課税される税金なので、利益を圧縮することができれば納めるべき税金も減らすことができます。法人税の実効税率は、平成28年度の税制改正で20%台になりました。法人税は今後も段階的に引き下げされることが決まっています。これまで、日本は外国と比べて法人税が高いとされてきました。

企業の経済活動のためには税金は少ない方がよいので、法人税の高い日本ではなく税率の低い外国に本社を構えるということも行われていたのです。しかし、経済がグローバル化していくにつれて、世界中で企業の誘致合戦が行われるようになりました。外国企業を誘致することで、自国の経済成長につなげるのがねらいです。法人税は「(益金-損金)×税率」によって算出します。

ただし、資本金1億円以下の中小企業については税制の優遇措置があるため、所得800万円までは本来よりも低い法人税率が適用されています。法人税は所得に応じて算出されるものなので、所得がゼロであったり、赤字であったりしたときにはかかりません。逆に、本業が赤字の会社が資産の売却により利益を得られることになれば、売却益と相殺することで決算書上の資産状況を改善する効果があります。決算書の数字を重視するのは、金融機関の心証を悪化させずに融資を受けるためには必要なことなのです。資産の売却は売却による資金調達と、節税によって手持ちの資金を減らさなくて済むという二重のメリットがあるといえるでしょう。

法人の場合は保険を活用する

資産売却とは多少ニュアンスが異なりますが、法人で生命保険に加入している場合は解約することで現金を手に入れられることも覚えておきましょう。解約返戻金があるタイプの商品は、万が一の保障のためというより、将来解約し現金を手に入れることを前提に商品設計されています。
このような保険の魅力は、簿外に資産を形成できることです。資産を形成するなら、銀行預金や有価証券など他のものでもよいのでは、と思う人もいるでしょう。しかし、銀行の預金は資産として帳簿に記録しなければならないので事業が順調で利益が出た分を積み立てたときは、しっかり法人税の課税対象になります。
さらに、預金は利息が払われる度に源泉徴収までされてしまいます。一方、有価証券などの場合、投資する段階では当然のことながら利益を確定させることはできません。投資性のある商品を事業の資金計画に組み入れることは適切ではありませんが、保険商品であれば契約時に約束した金額が決められた時期に支払われることになっているので、長期の資金計画にも対応できる点が先の2つと異なります。

経理処理に関しては、2分の1損金タイプの商品は、2分の1を資産計上し、2分の1を経費として扱うことになっています。解約返戻金は税務上、雑収入となるため、税金の課税対象です。ただし、全額益金になるわけではありません。課税対象となるのは、資産計上して積みあがった金額と受取金額の差額に対してです。
2分の1を損金として計上しながら資産を形成できるのが、このようなタイプの保険の魅力といえるでしょう。保険料を支払っている期間は節税ができ、解約返戻金を受け取る際には資金調達を行うこともできるからです。他方、生命保険の解約返戻金は多くの場合、ピークを迎えるまでに一定の期間が必要です。

ピークまでの年数が比較的短い商品であれば、下り坂を迎えるのも早いため、焦って使い道が決まっていないときに解約してしまうと益金になってしまいます。時間がかかるものだと十数年から二十数年かかることもあるため、数年で解約してしまうと支払保険料の方が多くなってしまいます。こうした保険のメリットを最大限生かすためには漫然と加入するのではなく、加入時に設備投資や事業承継などある程度の長期スパンで事業計画を考えておくのが望ましいでしょう。

そうすれば、返戻率の高低だけでなく、ピークを迎えるまでの年数が自社の計画に合っているかどうかで商品を選べるようになります。また、保険を活用した資金調達の方法は解約だけではありません。返戻金を担保とした保険会社からの借入も可能です。
借入できる金額は、借入時の返戻金の80%程度から90%程度までとなっているものが多く、着金までの時間も数日程度と入金スピードが銀行借り入れなどに比べると早いことがメリットです。借入には利息がかかりますが、カードローンなどに比べると低い金利で借入できます。

解約返戻金を担保とした借入を行うときの特徴は、保障を継続できることです。借入期間中に保険事故が発生したときは保険金額から借り入れた金額を差し引いた額が保険会社より支払われます。法人契約の保険は数千万から億単位で保険金額を設定できるため、保険金額の方が解約返戻金よりも大きな金額になっていることがほとんどです。健康上の理由で他の保険に加入できないときや、ピークを迎えるまでに当分の時間があり解約するのは得策ではないときに有効な方法だといえます。
ただし、保険料の支払いは借入期間中も行わなければならない点に注意してください。また、返戻金を目的として加入するならある程度まとまった金額を得られる契約内容にしなければあまり意味がありませんが、保険料が過大になると契約の継続が難しくなってしまいます。

中途解約は損することがほとんどです。無理せず続けられる、現実的な金額で契約しましょう。なお、個人事業主のケースでは自己を被保険者とする契約では保険料を損金扱いにすることはできません。個人では大きな金額の契約をすることもできないので、法人の方がこうした保険を活用した資金調達のメリットをより享受できます。

譲渡所得の税金に要注意

資産を売却する際は、譲渡所得について注意しておきましょう。譲渡所得とは、資産の譲渡による所得のことで、対象となる資産としては土地や建物などの不動産、借地権、株式、特定の公社債などのほか、ゴルフ会員権や特許権なども含まれています。
譲渡は有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為とされており、たとえ市場の価値より低く売却したとしても課税の対象となります。譲渡の方法は通常の売買のほか、交換や競売、公売、代物弁済、現物出資などのケースも対象です。

資産が消滅することによって補償金を受け取る収用などの場合でも、補償金に対して譲渡所得として課税対象となることは盲点だったという人もいるのではないでしょうか。特に、土地や建物などの不動産の売却は分離課税となるため、税額は事業所得などの他の所得の金額と区別され、損益通算できない点は要注意です。5年以上の長期保有の計算式は、「譲渡金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除」となり、課税金額は所得の15%と住民税の5%、そして2.1%の復興特別所得税が加算された額となります(※1)。

仮に、30年保有した土地・建物の譲渡価格が1億4500万円で、取得費が1億円、仲介手数料などの譲渡費用が500万円だとすると、所得は1億4500万円-(1億円+500万円)=4000万円です。税額を個別に見ていくと、所得税は4000万円×15%=600万円、復興特別所得税は600万円×2.1%=12万6000円、住民税は4000万円×5%=200万円となり、税額の合計は812万6000円です。一方、5年未満の短期保有の資産を売却したときの課税率は、長期保有のときよりもアップします。
所得税にかかる税率は30%、住民税は9%となり、先ほどと同じ金額で不動産を売却した場合の課税額は1333万2000円となり、その差は520万6000円となります(※2)。

このことからいえるのは、資産の売却によって資金調達を行っても、納税資金を別途用立てる必要があるということです。資産売却の際は、譲渡所得にかかる税金のことも考えるようにしましょう。なお、株式などの売却では特定口座・源泉徴収ありを選択している場合は、売却代金から税金が源泉徴収されるため、基本的に確定申告は不要で納税資金の用意も必要ありません。特定口座でも源泉徴収なしを選択しているケースや、一般口座を選択しているケースでは確定申告を行う必要があり、納税資金も準備しなければなりません。
源泉徴収ありを選択しているケースでも確定申告をした方がお得になることもあります。決算を行った結果、税金を納め過ぎていることが分かったときは税金の還付を受けられるからです。

資産売却は最後の砦として温存しておくのも手

資産の売却は、審査が必要な銀行からの借り入れに比べるとハードルの低い資金調達方法です。しかし、せっかく資産を保有したのであれば、利益が生まれている限りは保有を続けるという判断をしても問題はなく、他の手段を講じることができなくなったときの最終手段としてとっておくというのも経営判断です。

一方で、資金調達の必要性が高く、保有しているだけでコストが利益を上回ったり、利益を生み出すまで相当の時間がかかったりするケースでは売却も検討しなければならないでしょう。資産の売却を検討する際には、売却で必要な資金を調達できるのか、数年以内にその資産が大きな利益を生み出す可能性、資産売却時の節税メリット、そして資産売却によるマイナスの影響の4点を考えてみてください。資産の売却を考えるときは、最初に資産の洗い出しを行いましょう。
洗い出した資産を資金調達の必要性と資産としての有効性、そして税制の観点から見てみると、現金を調達するという目的を達成できるだけでなく、結果として思いがけぬ税負担を免れたり、全体の税負担を軽減することもできるのです。

関連記事

  1. 一般社団法人財務会計支援機構の企業情報まとめ、口コミ・評判を徹底調査。

  2. 株式会社インターテックの企業情報まとめ、口コミ・評判を徹底調査。

  3. 株式会社wingleの企業情報まとめ、口コミ・評判を徹底調査。

  4. 有限会社WHATEVERの企業情報まとめ、口コミ・評判を徹底調査。

  5. 株式会社ライフの企業情報まとめ、口コミ・評判を徹底調査。

  6. 三菱UFJファクター株式会社の企業情報まとめ、口コミ・評判を徹底調査。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ジャンル別ランキング

資金調達相談はコチラから

希望の資金調達手法
手法は問わない融資のみ手法も含め相談したい

担保の有無
土地や不動産などを持っている持っていないわからない

2018年7月
« 6月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031